kamiのサービス制作ログ

ひとりでサービスを制作している人の作業ログ的なブログ

リリース2日で閉鎖したミニブログサービスiine logを再リリースしました

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先日、個人でiine logというミニブログサービスをリリースしました。 このサービスはリリース2日で200ユーザ、20,000PVと(個人サービスとしては)好調な滑り出しでした。 ただ、ある問題が発生したため、昨日に至るまで閉鎖していました。

クローズから2ヶ月後の今日、ようやくiine logを再リリースできました。 この記事はその記録となります。

どんなサービスか

iine logは、ひとことでいうと「よかったことだけを書くTwitter」です。 1つの投稿につき100字以内で、よかったことだけを書くことができます。

Facebookだと、よかったことは書きづらいです。 Twitterだと、よいこと悪いこと、様々な感情が流れてきます。 よかったことだけを見たい・書きたいと思い、制作しました。

また、私は承認欲求や自己顕示欲を満たすだけの場に成り果てたFacebookというサービスが好きではありません。 iine logは、アンチFacebookという側面もあります。

どんな問題が起きたか

1. 不適切な文章が多く投稿された

端的にいうと、以下の問題が起きました。

  1. 1人のユーザが不適切な文章を投稿する(過度な性表現や犯罪に関することなど)
  2. それに便乗し、一部のユーザが多くの不適切な文章を投稿する
  3. 運営側で不適切な投稿を規制する
  4. 言論統制だ」などと場が荒れる

運営者としては、純粋に気持ちのよい投稿が集まる気持ちのよいサービスにしたく、過度な表現に関しては規制するに至りました。 ただ、結果的にユーザの感情を逆なでしてしまい、反省しています。

不適切な投稿ができてしまう設計下では、不適切な投稿がされるのは、言わば当たり前のことです。

不適切な投稿をしてほしくなければ、不適切な投稿をするユーザを規制するのではなく、不適切な投稿ができない、あるいは不適切な投稿をしてもサービス全体に影響のないような設計にすることが大切だ、と学びました。

2. 不適切な投稿をするユーザはたったの2.5%

サービス閉鎖時点で、iine logにはユーザが200人いました。 リリース直後とあって、ほとんどがアクティブでした。

そのうち、不適切な投稿を繰り返すユーザはたったの5人ほどでした。 この、たった5人が、サービスの生態系を大きく狂わすほどの力を持っていることに、その時は気づけませんでした。

CGM系サービスの設計には、不適切な投稿がされても問題がないよう気をつけるべきです。

3. 不適切な投稿をするユーザのほとんどがメールアドレス認証

前回、iine logでは(1)メールアドレス、(2)Facebook、(3)Twitterの3つの認証方法を提供しました。 この中で、不適切な投稿をするユーザはすべてメールアドレス、かつ捨てアドで登録していました。

4. 脆弱性や負荷テストを(無断で)される

本人は善意でやっていたようですが、あらゆる手段で脆弱性をチェックしたり、サーバに影響が出るほどの負荷テストを行なうユーザもいました。 もちろん利用規約ではこのような行為は制限していました。

本人がTwitter経由で名乗り出てくれたため、テストをするならステージング環境を提供するのでそこでやるようお願いしました。 この結果、一連のやりとりを見ていた他のユーザが「このサービスは脆弱性テストを禁止している糞サービスだ」「みなさん絶対に使わないようにしましょう」などとTwitterで執拗に拡散しはじめました。

以上のようにサービスが荒れてしまい、このままでは多くのユーザの方に迷惑をかけると判断し、閉鎖を決断しました。

再リリースにおいて改善したこと

とはいえやっぱり自分がほしいサービスなのでリリースしたいと思い、閉鎖したその日からさっそく新たなiine logをつくり始めました。

1. メールアドレス認証の廃止

不適切な投稿をするユーザのほとんどがメールアドレスで認証していたため、今回OAuth認証のみにしました。 メールアドレスを取得してしまうことは、なにかと問題にもつながりそうなので、その意味でもよかったと思います。

ただ、OAuth認証だけで万事解決かというと、今回再リリース時のβテストでわざわざTwitter捨て垢を取得してきたユーザの方もいたので、銀の弾丸とはいかないようです。

2. フォロー機能の導入

前回のサービス設計は、すべてのユーザの投稿がひとつのパブリックTLに集まる仕組みでした。 つまり、不適切な投稿が1つでもあれば、その投稿をすべてのユーザが見ざるを得ませんでした。

サービスづくりにおいて、フォロー機能は安易に取り入れがちですが、サービス本来の価値の提供において絶対に必要でなければいけません。 iine logに関しては、Twitterと同じく、見たい人だけの投稿を見れる、という意味でもフォロー機能は必要と判断し導入しました。

3. ユーザへのステータスの導入

iine logには「見つける」という、いわゆるパブリックTL機能があります。 ここには不適切な投稿を表示したくはありません。

ただ、サービスにとって不適切と判断しても、ユーザにとってはそれが正義だ、ということも往々にしてあります。 運営者としても、別にネズミ捕りをしたい訳ではありません。 当たり前ですが、多くのユーザに使ってほしいと思っています。

「見つける」には表示させたくないが、問題なくサービスを使えるステータスとして、hiddenというステータスを入れました。

また、前回もあったのですが、過度な性表現や犯罪に関することなど、他のユーザにとって著しく迷惑になる行為をとるユーザに対しては、bannedという、サービスへのログインを禁止するステータスも準備しました。

結局このステータスの切り替えが運営者の判断になると「言論統制だ」と言われると思います。 ただ、FacebookTwitterも、先日リリースされた日本語版StackOverflowも、サービスに合わない投稿は編集されたり規制されたりしています。

このことに関しては、批判するユーザに負けず、サービスを楽しく使ってくれているユーザに対して責任をもって運営すべきだと考えています。

その他の機能

その他にも、ユーザのブロック機能や通報機能、ここには書けないいくつかの機能も新たに実装しています。 また、PC版/SP版ともに、全体的にUIもよくなっていると思います。

おわりに

前回リリース時は、不適切な投稿もありましたが、閉鎖と同時に多くのユーザの方から励ましの声もいただきました。 この声があったから、よいサービスをつくらなくてはいけないと思い、再リリースに至れたと思います。

また問題は起こると思いますが、iine logを使ってくれるユーザの方のために、よいサービスをつくり続けたいと思います。

よかったことがあったら、ぜひiine logにイイネを投稿してみてください。

いただいた声